発売前なのに、もう品薄です
まず結論からお伝えします。OMデジタルソリューションズが2026年9月9日に正式発表した新しいミラーレスカメラ「OM SYSTEM PEN」が、発売前にもかかわらず品薄になりました。
発表と同時に予約受付が始まりましたが、その翌日、2026年9月10日に同社は「お届け遅延のお詫び」というリリースを公開しています。内容はシンプルで、「大変多くのお客さまにご予約をいただいており、一部のお客さまには11月以降のお届けになる場合がございます」というもの。発売予定日は2026年10月下旬ですから、発売前の時点で1カ月以上のずれが告知されたことになります。
対象として挙げられているのは、ボディー単体(シルバー/ブラック)、14-42mm F3.5-5.6 IIIレンズキット(シルバー/ブラック)、そしてリチウムイオン充電池「BLS-7」と充電器「BCS-7」です。なお、ダブルズームキットについては、ブラック・シルバーともに発売日に入手可能という情報が販売店側から出ています。同じカメラでも、キットの選び方で入手時期が変わるという、なかなか珍しい状況です。
海外でも似た動きがあります。43Rumorsは、店舗の責任者への取材として「予約数は予想の上限に近い」と伝えており、B&H Photoのランキングでも順位を上げているとしています。つまりこれは、日本国内だけの盛り上がりではないということです。

PEN、という名前の重み
なぜここまで話題になるのか。それを理解するには、少し歴史を振り返る必要があります。
PENシリーズが始まったのは1959年。フィルムカメラの初代PENは、「ペンのように気軽に持ち歩けるカメラ」という発想から生まれました。そして2009年、マイクロフォーサーズ規格の第1号機として登場した「オリンパス・ペン E-P1」が、世界的なミラーレスブームの引き金になります。2016年には、削り出しアルミのボディと「クリエイティブダイヤル」を備えた名機「PEN-F」が登場。2021年6月25日には「PEN E-P7」が発売されました。
しかしE-P7は、外付けEVFも装着できず、ボディも樹脂製ということで、往年のE-Pシリーズを愛した層からは賛否が分かれたモデルでもありました。そこから約5年。今回発表された新型は、型番を持たず、ただ「OM SYSTEM PEN」と名乗ります。オリンパスからOM SYSTEMへブランドが移行して以降、初めてのPENであり、名前に型番を付けなかったこと自体が、メーカーの姿勢を示していると読めます。
注目ポイント1:EVFが10年ぶりに戻ってきた
今回もっとも「らしい」進化は、電子ビューファインダー(EVF)の内蔵です。ボディの左肩にレンジファインダーカメラ風に配置されたEVFは、約236万ドットのOLEDパネル。PENシリーズでEVFを内蔵したのは、2016年のPEN-F以来、実に10年ぶりということになります。
背面には3.0型・約104万ドットの可動式タッチパネル液晶を搭載。晴天下でも構図を追い込めるファインダーと、自由なアングルを狙える液晶の両方が使えるようになりました。
さらに、ボディ前面には「プロファイルコントロールスイッチ」が配置されています。これはPEN-Fのクリエイティブダイヤルの思想を受け継ぐもので、スイッチひとつで「カラープロファイルコントロール」「モノクロプロファイルコントロール」を呼び出し、フィルムのような色合いや粒状感、シェーディングをその場で調整できます。しかもこの機能は、静止画だけでなく動画にも適用できます。
注目ポイント2:PEN初の防塵・防滴、それで約393g
2つめの驚きは、耐環境性能です。歴代PENとして初めて、IPX1相当の防塵・防滴設計を採用しました。レンズキットに同梱される新設計の標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」もIPX1の防滴性能を備えており、ボディとレンズの両方で雨や埃に配慮されています。
それでいて質量は、バッテリーとメモリーカードを含んで約393g。PEN-Fの約427gから、約34gの軽量化です。サイズは約125.8mm×74.5mm×43.3mm。コンパクトな14-42mmと組み合わせれば、ほぼポケットに収まる携帯性です。
「おしゃれなカメラは、雨が降ったら家に置いておくもの」という常識が、ここで崩れたと言っていいでしょう。天候が急変しやすい登山や旅行でも、安心して持ち出せる一台になりました。
注目ポイント3:14万円台という価格設定
3つめは価格です。OM SYSTEMストアの価格は、ボディー単体が148,500円、14-42mmレンズキットが165,000円、ダブルズームキットが176,000円。市場想定価格はボディ約15万円、レンズキット約16万5,000円、ダブルズームキット約17万5,000円とされています。一方でカメラのキタムラでは133,650円という提示も確認されており、実売では13万円台が視野に入ります。米国での価格は約999ドルです。
円安と部材高騰でカメラの値上げが続くなかで、EVF内蔵・防塵防滴・像面位相差AFを備えてこの価格帯というのは、かなり戦略的です。実際、Digital Camera Worldのレビューは「ほぼPEN-F II」「歴代PENで最高のカメラ」と評価し、欠点として挙げたのは「通常撮影が約2000万画素であること」「動画が8bit記録に限られること」の2点だけでした。一方PetaPixelは「見慣れているが、とても美しい」というトーンで、最新技術を詰め込んだPEN-Fの正統後継を期待していた層には物足りなさも残る、という評価でした。
主なスペック一覧
| 項目 | OM SYSTEM PEN |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月9日 |
| 発売予定 | 2026年10月下旬 |
| センサー | 4/3型 Live MOS 有効約2037万画素 |
| 画像処理エンジン | TruePic IX |
| AF | 121点オールクロス像面位相差AF+コントラストAF(-3.5EV〜20EV) |
| 被写体認識 | 人物、犬・猫、星空AF(静止画のみ) |
| 手ぶれ補正 | ボディー内5軸/中央最大5.5段・周辺最大4.5段 |
| ISO感度 | 200〜25600(拡張LOW 約64) |
| 連写 | 電子シャッター 最高約30コマ/秒、プロキャプチャー対応 |
| シャッター速度 | メカ 1/4000〜60秒/電子 1/32000〜60秒 |
| EVF | 0.39型 OLED 約236万ドット(倍率約1.10〜1.23倍) |
| 液晶 | 3.0型 約104万ドット 可動式タッチパネル |
| 動画 | C4K 24p/4K 30p・25p・24p/FHD 60p/S&Q 120fps(8bit) |
| 動画ルック | OM-Log400、OM-Cinema1、OM-Cinema2、縦位置動画、タリーランプ |
| computational | ハイレゾショット(80MP相当)、ライブND(ND2-16)、深度合成、ライブコンポジット、HDR、多重露出 |
| 記録メディア | SD/SDHC/SDXC(UHS-I)×1 |
| 端子 | USB Type-C、micro HDMI、3.5mmマイク |
| 無線 | Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)、Bluetooth 5.2 |
| バッテリー | BLS-7/約410枚(CIPA) |
| 耐環境 | 防塵・防滴 IPX1相当(PENシリーズ初) |
| サイズ | 約125.8×74.5×43.3mm |
| 質量 | 約393g(バッテリー・カード込) |
| カラー | シルバー/ブラック |
| 公式ストア価格 | ボディ148,500円/レンズキット165,000円/ダブルズーム176,000円 |
歴代PENとの比較で見る「立ち位置」
| モデル | 登場年 | EVF | 防塵防滴 | AF方式 | 質量 |
|---|---|---|---|---|---|
| PEN(初代・フィルム) | 1959年 | 光学式 | 非対応 | MF | ー |
| PEN E-P1 | 2009年 | なし | 非対応 | コントラストAF | 約355g |
| PEN-F | 2016年 | 内蔵 | 非対応 | コントラストAF | 約427g |
| PEN E-P7 | 2021年 | なし(外付不可) | 非対応 | コントラストAF | 約337g |
| OM SYSTEM PEN | 2026年 | 内蔵(236万ドット) | IPX1 | 121点像面位相差 | 約393g |
この表を眺めると、今回のPENが何をしたのかがはっきりします。PEN-Fの「覗いて撮る楽しさ」を取り戻しつつ、E-P7の「軽さ」に近づけ、そこへ歴代になかった防塵防滴と像面位相差AFを載せた。つまり、PENの歴史における「足りなかったもの」を一気に埋めにきたモデルなのです。
このニュースは、誰にとって重要なのか
まず、いま買い替えを検討している方です。特にPEN-FやE-P7を使い続けてきた方にとって、今回は10年待った答え合わせになります。次に、フルサイズ機の重さに疲れた方。約393gというのは、スマホ2台分程度の重さです。そして、スマホの写真に物足りなさを感じ始めた方にとっては、「撮って出しで味が出るカメラ」という新しい選択肢になります。
一方で、注意点もあります。動画が8bit記録に限られるため、本格的なカラーグレーディングを前提とした動画制作がメインの方には、上位機を検討する余地があります。またAFの被写体検出は静止画専用で、動画には効きません。AFジョイスティックも省かれており、AF位置の移動は方向ボタンかタッチ操作になります。
カメラ市場の文脈で考える
この現象は、単に「1台のカメラが売れた」という話ではありません。ここ数年、カメラ市場は台数が縮小する一方で、単価が上昇し、そして「クラシカルなデザイン」を求める需要が急速に膨らんできました。フィルムライクな色、ダイヤル操作、金属質な佇まい。スマホでは得られない「手触りのある体験」に、お金が集まっています。
OM SYSTEMは、マイクロフォーサーズという小型センサー規格を武器に、「小さく、軽く、タフに」という方向へ舵を切りました。今回のPENは、その戦略にデザインという価値を掛け合わせた製品です。発売前に品薄になったという事実は、市場がその読みを支持したことの証明とも言えます。1959年に「ペンのように持ち歩けるカメラ」として始まった系譜が、67年後にもう一度評価された、というのは、なかなか味わい深い話ではないでしょうか。
購入を検討する方へ
現時点(2026年9月11日)で言えるのは、次の3点です。1つ、ボディ単体と14-42mmレンズキットは納期が読みにくいこと。2つ、ダブルズームキットは発売日入手の可能性が高いこと。3つ、量販店とOM SYSTEMストアで価格差があるため、納期と価格のどちらを優先するかで選び先が変わることです。
なお、OM SYSTEMはPEN発売記念キャンペーンも実施しています。購入特典の条件は期間や対象製品で変わりますので、必ず公式ページで最新の条件を確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. OM SYSTEM PENの発売日はいつですか? 2026年10月下旬の発売予定です。2026年9月9日に正式発表され、同日から予約受付が始まっています。
Q2. なぜ発売前に品薄になったのですか? 予約数がメーカーの想定を大きく上回ったためです。2026年9月10日にOMデジタルソリューションズが「お届け遅延のお詫び」を公開し、一部は11月以降のお届けになる可能性があると告知しました。
Q3. 遅延の対象になっているのはどの製品ですか? ボディー単体(シルバー/ブラック)、14-42mm F3.5-5.6 IIIレンズキット(シルバー/ブラック)、リチウムイオン充電池BLS-7、充電器BCS-7です。
Q4. すぐに手に入れる方法はありますか? ダブルズームキットは、ブラック・シルバーともに発売日に入手可能との情報が販売店から出ています。ただし状況は変動しますので、各店舗で最新の納期を確認してください。
Q5. 価格はいくらですか? OM SYSTEMストアでボディー単体148,500円、レンズキット165,000円、ダブルズームキット176,000円です。量販店では133,650円という提示も確認されています。米国価格は約999ドルです。
Q6. PEN E-P7から何が変わりましたか? 約236万ドットのEVF内蔵、IPX1相当の防塵・防滴、121点の像面位相差AFと被写体認識AF、C4K動画対応、コンピュテーショナルフォトグラフィ機能の搭載などが主な進化点です。
Q7. PEN-Fの後継機と考えていいのでしょうか? 機能面では「ほぼPEN-F II」と評する海外メディアもあります。ただし、PEN-Fのような削り出しアルミ一体構造ではないため、質感や重量感はPEN-Fほどではないという指摘があります。
Q8. 動画性能はどうですか? C4K 24p、4K 30p、FHD 60p、S&Q 120fpsに対応し、OM-Log400やOM-Cinema1/2も搭載します。ただしすべて8bit記録で、被写体検出AFは動画では使えません。
Q9. バッテリーはどれくらい持ちますか? 新設計のBLS-7を採用し、CIPA規格で約410枚です。海外レビューでは1回の充電で600枚を大きく超えて撮影できたという報告もあります。
Q10. レンズは手持ちのものが使えますか? マイクロフォーサーズ規格ですので、オリンパス/OM SYSTEMやパナソニックなどの同規格レンズが使えます。ただし防滴性能はボディとレンズの両方が対応している組み合わせで有効です。
※本記事は2026年9月11日時点の公開情報に基づいています。価格・納期は変動する可能性がありますので、購入前に必ず公式情報をご確認ください。
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